小型安定成長株への投資とは

株式投資

高配当株、テーマ株、米国株、全世界株…。とにかく選択肢がありすぎて、何に投資するのがベストなのかわからなくなりますよね。

本日は私の投資スタイル「小型安定成長株への投資」について説明したいと思います。

外部の情報を鵜呑みにしたり、感情に流されて売買をすることは、投資のパフォーマンスを低下させることに繋がります。そのため、自分に合った投資スタイルやルールを持つことはとても重要だと感じています。

昔はネットの掲示板で見かけた株を考えずに購入して、損切りしたこともあったなー。

投資スタイルに正解はないと思いますが、みなさんの投資スタイルを向上させるヒントがあればいいなと思います。

小型安定成長株とは

私が好んで投資する株の特徴を一言で説明すると、安定して成長する小型株です。これを小型安定成長株と(勝手に)呼んでいます。

私は十数年ほど株式投資を続けてきて、優待株から始まり、高配当株やテーマ株、ときには世界を変えてしまいそうな夢を持った株などに投資したこともあります。その中で、最終的にこの小型安定成長株に落ち着いた理由は、

  • 最も安定して利益を得ることができた。
  • 最も楽しく続けることができた。
  • よくわからないものに大事なお金を投資したくない、という思いが強かった。

からだと分析しています。

ここからは、もう少し小型安定成長株を掘り下げていきたいと思います。

小型株とは

TOPIX構成銘柄の中から、時価総額と流動性が高い上位100銘柄を「大型株」、次いで時価総額と流動性が高い上位400銘柄を「中型株」、大型株にも中型株に含まれない全銘柄を「小型株」としています。

一般的には時価総額が1000億円以下を小型株と呼ぶことが多いのですが、私が好む小型株は500億円未満で、100億円以下の株にもよく投資します。

株式投資の世界には小型株効果と呼ばれるアノマリーもありますが、私がこのような小型株を好む理由は以下です。

事業がシンプルである

小型株は単一の事業をしていることも多く、個人投資家でも事業の内容を理解しやすいと考えています。

例えば昔に株主優待目当てで投資していたオリックスは、低PERで高配当、業績も伸びておりとても良い株だと思いました。一方で、私には複雑な事業内容を十分に理解、把握できないと感じました。

ビジネスモデルを理解し、その長所と短所を知り、業績が安定的に伸びる根拠を自分なりに説明できることを私はとても重視しています。

自分が理解できないものに投資したくない、という私の思いが表れていると思います。

事業が大きく成長する可能性がある

企業は一般的に、創業期→成長期→成熟期→衰退期のプロセスを辿ります。

成長期に大きく業績と株価を伸ばすことが多いため、私は成長期を迎える前の創業期に投資し、利益を上げたいと考えています。

上場から10年以内の若い会社に投資することが多いです。

機関投資家と違う土俵で勝負できる

機関投資家やファンド、有力投資家を相手に株式市場で勝つことは難しいと考えています。株式投資は資金が多い方が有利であり、私にはプロに勝てるようなお金や時間、分析力はないからです。

流動性が低い小型株は、基本的に大きな資金を扱う機関投資家たちの投資対象になりません。

私はオリンピックの場で勝負するよりも、公民館で勝負したいと考えています。

安い株価で放置されていることがある

小型株は世間の認知度が低い、流動性が低い、などの理由で株価が安く放置されている場合があります。

素晴らしいビジネスモデルで業績も伸びている企業なのに、株価は割安に感じるな、と思える株に出会った機会は、小型株の方が多かったと感じています。

将来注目された時に大きく伸びる

小型株には、こんな企業は聞いたことがない、という企業も多くあります。

その企業の製品やサービスが世間から注目されることは、業績が大きく伸びるチャンスになります。

私はその企業の素晴らしさが広く知れ渡る前に、ひっそりと投資しておきたいと考えています。

安定成長とは

私には短期的な値動きを読む力はありません。ただし、長期的に見ると株価は業績に連動していくものだと考えています。

私は急成長しなくても良いので、できるだけ確実に伸びていく株に投資したいと考えているため、安定成長することを重視しています。

ストックビジネス

事業におけるストックビジネスの比率が高いことを重視しています。

ストックビジネスとは、継続的に収益を得ることができるビジネスモデルであり、以下のようなものがあります。

  • 定期購読
  • 定期的な保守点検
  • 保険
  • 会員制サービス
  • 電気、ガス、水道などのインフラ

収益が安定していて、将来の業績が予測がしやいすいとうメリットがあります。できるだけ理解できるものに投資したいという私の思いに合っていると感じています。

高利益率

利益率が高いということは、設備や人件費などのコストが少なくて済み、少ない労力で大きな売り上げを上げられる力があることを示します。

逆に薄利多売のビジネスは、原価や人件費が少し上がるだけで赤字になる恐れがあり、私は好みません。

利益率の高さはその企業に儲ける力があることを示し、安定した業績に繋がりやすいと考えています。

私は営業利益率が20%以上の企業に投資することが多いです。

連続増収、増益

増収、増益ができるだけ長く続いている企業に投資したいと考えています。例えば、決算説明資料に「10年連続増収増益」のように書かれると、より真剣に読みたくなってしまいます。

企業によっては、景気や円相場などの外部要因に大きく影響を受けるビジネスをしている企業もあります。また、将来の成長期のために広告費を大きく投下する必要があり、一時的に減益になるケースもあります。

私はできるだけ不確定な外部要因の影響を受けず、急成長しなくても、確実に利益を積み上げていく企業を好んでいます。

成長ストーリー

企業が安定成長していくかどうかを判断するために、まずは事業を十分に理解します。その上で、「このような理由で安定的に成長していく」という成長ストーリー(仮説)を立てるようにしています。

その成長ストーリーをいろいろな角度から何度も考え直し、十分自信が持てるようになったら、投資の対象にします。

その株を保有した場合、私は株価で売買を判断することはあまりなく、成長ストーリーに変化がない限り保有します。逆に成長ストーリーに疑問が出てきたら、即座に売ります。

私は現在の株価が底か天井かは全くわからないので、自分が描く成長ストーリーで売買することが多いです。

中長期目線での投資

短期的な株価の上げ下げは、自分にとってわからないものなので、無視しています。

短期的には株価の上下の波がありながら、長期的には株価は業績に連動していくと考えているため、長期で見るとゆっくり伸びていきそうな株を探しています。

投資で最も大切な複利の効果を活かしながら、日々の値動きに追われるよりも家族との時間を大切にしたいと考えています。

参入障壁はあまり重視しない

参入障壁とは、このビジネスを始めたいと思っても、この会社には敵わないと思わせる壁のことです。

例えば、他社には真似できないブランド力や特許を持っている、一度使い始めたら解約金が高くて他社に移れない、などです。

この参入障壁を高く評価する投資家はとても多いのですが、私はあまり重視していません。

その理由は、もし他社の方が優れていてシェアを奪われそうな気配を感じたら、すぐに売ってしまえば良いと思っているからです。

参入障壁を重視しているウォーレン・バフェットに怒られそう。

小型安定成長株のデメリット

以上のような理由で私は小型安定成長株に投資していますが、デメリットもあると考えています。

そのため、このデメリットを苦にしないメンタルや投資方法が必要だと考えています。

一つの事業の影響が大きい

多角経営の企業が少ないため、一つの事業がうまくいかないと、企業全体の業績が大きく下がるリスクがあります。

そのため、事業の伸びが鈍化していると感じたときには、株価は見ずに即売るようにしています。

また、1銘柄への集中投資はリスクが大きいため、私は5銘柄くらいに分散投資しています。

私は損切りがとても早いです。少しでも不安を感じたら、とりあえず即売ります。

費用が先行して赤字になる場合がある

企業規模が小さい場合、積極的な採用による人件費や広告宣伝費の増加が、短期的な収益を大きく減らす要因になるケースがあります。

そのため、私は出来るだけ社員数や広告に頼りすぎないビジネスモデルの企業を選ぶように心がけています。

相場全体と違う動きをしやすい

日経平均が急騰した日にも、わたしの保有株はさっぱり反応せず、ということがよくあります。

何となく残念な気持ちにはなりますが、感情や外部要因に流されないよう、そのような感情は無視することにしています。

それなのに相場全体が急落した日には、自分の保有株も急落する虚しさ…。

流動性が低い

小型株は流動性が低くて板が薄いため、まとまった株数を購入するには、現在株価よりもかなり高めで購入せざるを得ない場合があります。

逆に売るときには、現在価格よりかなり安めで売ることになる場合もあります。

私は長期的に大きく利益を得ることを目指しているため、売買のときの数%程度の株価の差は、誤差として受け入れることにしています。

値動きが激しい

前述のとおり流動性が低いため、短期的な株価は大きく上下することがあります。

急落時にストップ安になったり、相場全体がリスクオフの時期には長期にわたり数十%値下がりすることもあります。

私は長期目線での投資を意識することで、短期の感情的な売買をしないよう心がけています。このようなメンタルは、小型株を扱う上で必須だと考えています。

配当に期待できない

小型株は事業の拡大を優先して無配の場合も多くあるため、配当を目的とした投資にはあまり向いていません。

私は保有する企業には、配当よりも事業を拡大するための投資に資金を向けて欲しいと考えているため、特にデメリットとは感じていません。

爆発力がない

ストックビジネスの傾向として、収益は安定してるものの、大ヒット商品が出て業績が急騰するような爆発力はあまりないと考えています。

安定成長を重視しているため、私にとってはこれも特にデメリットには感じていません。

株価割安の判断基準

どんなに魅力的な小型安定成長株が見つかっても、割高な株価で購入してしまうと、売却時の利益が小さくなったり、損をする可能性が高くなります。そのため、できるだけ割安な株価で購入したいと考えています。

現在の株価が割安かどうかの判断は、その人の投資スタイルによっても基準が異なりますが、私は以下の基準で判断しています。

PER 10倍以下

PER 10倍を一つの目安とし、それ以下なら割安と判断しています。理想としては、毎年利益が10%以上、できれば15%以上伸びている企業をPER 10倍以下で購入したいと考えています。

ここで一つ、問題にぶつかります。

これまでに書いた小型安定成長株の条件を満たしたうえで、利益が安定して15%以上伸びていて、かつ現在PER 10倍以下の株が見つかるか、という問題です。

このような企業は、なかなか見つかりません。

3年後PER

ではどうするかというと、私の基準は、現時点の株価と毎年の利益成長率が変わらない場合、3年後にPER 10倍以下になる、という場合に割安と判断します。私は勝手に「3年後PER」と呼んでいます。

例として、現在のPERが15倍、毎年の利益成長率が15%の企業で説明します。

株価が今のまま変わらない場合、
1年後のPER:13.0倍
2年後のPER:11.3倍
3年後のPER:9.9倍
となり、10倍以下のため現在の株価は割安だと判断します。

長期目線の個人投資家なので、3年くらいのんびり待つことができます。

まとめ

本日は私の投資スタイル「小型安定成長株への投資」について説明しました。

自分に合っていて、今のところは結果を出すことができているので、今後もこのスタイルで楽しみながら続けていこうと考えています。

ただし、この記事は私の投資スタイルを推奨することを目的としたものではありません。私には合っていると思いますが、合わない人のほうが多いと思います。投資はくれぐれも余裕資産で、100%自己判断、自己責任でお願いします。